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rainbow parallel
偏光板の透過軸が虹の弧の方向に平行
偏光板の透過軸が虹の弧の方向に垂直

偏光板1枚で確認できる現象としてもう1例挙げます.虹は強く偏光しています.普通にみることのできる虹は太陽光線が空中に浮遊する雨滴の界面で屈折入射し,内部で1回反射して,再び屈折して出てきたものです.水の屈折率がわずかに波長依存性を持つために,青色が内側,赤色が外側に分離して,虹色を呈するわけです.光の波長が短いほうが屈折率が高くなります.とはいっても屈折率の3桁目が変わる程度です.水の屈折率は1.33くらいです.この値をもとに内部で1回反射する光が散乱される光の強度の極大を与える散乱角を求めると42.5度が得られます.虹はこの広がり角で太陽を背にして円弧状に見えることになります.さて,雨滴内部で反射するときの反射角を計算すると約40.4です.水滴の内側でのブリュースター角は36.9度でかなり近い値です.そのため虹の光は虹の円弧に沿った方向に強く偏光します.

偏光板を介して虹を観察した写真を示しましょう.偏光板の透過軸を虹の弧に沿った方向にすると虹は見えていますが,90度回転させると見えなくなることが分かります.これも偏光板1枚で確認できる観察です.青空の偏光と合わせてぜひ試してみてください.偏光板セットを財布やスマホケースに忍ばせて常に携行するようになれば,あなたはもう立派な物理フリーク(物理オタクより少しマシな呼称?)です.

ちなみに,条件が良ければ虹の外側に淡い,色の順番が逆の虹が見えることがあります.広がり角は52度付近です.これは太陽光線が雨滴内で2回反射して出てきた散乱光です.副虹と呼ばれます.普通の虹は主虹と呼ばれます.この場合の雨滴内部反射角は約45.6度でブリュースター角からかなり離れていますが,虹の弧に垂直に偏光した成分は相対的に弱く,やはり副虹も偏光しています.