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Polarization


光が電気と磁場の波(電波,電磁波)と判明したのは,1864年Maxwellが電磁気学を確立して,交番電流の作るベクトルポテンシャルの伝播に伴い,電場と磁場が互いに直交してベクトルポテンシャルの進行方向に垂直に同位相で振動することを理論的に導いたことによります.この電気と磁場の波の伝播速度は真空の誘電率\(\varepsilon_0\)と透磁率\(\mu_0\)の積の平方根の逆数\(\frac{1}{\sqrt{\varepsilon_0 \mu_0}}\)であり,当時知られていた光の速度に等しいことから,光は電磁波であると結論づけられました.それまで光は回折や干渉といった波動特有の性質を持つため波の一種であることは分かっていましたが,その正体は分かっていませんでした.ちなみに電磁波の伝播をHertzが実験的に確認したのは1886年です.

偏光板と呼ばれる光学フィルターがあります.これは内部に微小な線状の導体が方向を揃えて並んだものです.ブラインドやすだれを目に見えない大きさにしたものと思えばよろしいでしょう.光の電場の振動方向がこの微小導体の方向と一致していると微小導体内の電子を揺らすことになるので光はエネルギーを失います.光が吸収されるということです.微小導体の方向と直角な方向の電場を持つ光は吸収されることなく素通りします.上の図では微小導体の配向を水平方向の線で表しています.太陽光やLED光はいろんな方向に振動する光を含んでいます.偏光板を通過するのは図では鉛直方向の光の成分だけです.分かり易くするためとは思いますが,ブラインドの隙間から波がすり抜けるとする説明が散見されますがこれは全くの間違いです.

偏光板はLCDモニターに必須の光学フィルターなので高性能で大面積のものが廉価に入手できます.光学実験をする者にとって一昔前には考えられない恵まれた状況です.性能に拘らなければ自分で作製できます.事務用液体のり(PVA)にうがい薬(ヨード液)を混入してガラス板の上に薄く塗布して乾かします.ヨード分子が微小な繊維状導体として機能します.これを一定の方向に引き伸ばすと,ヨード分子が配向します.工業生産される偏光板も同じような工程で作られます.

偏光板の実験セットを販売します.少量の偏光板を個人で購入すると割高な高価なものになります.実験セットには2枚の偏光板と2枚の位相板(1/4波長板)が含まれます.位相板については別の解説を参照下さい.いろんな面白い実験ができます.使い方の解説は順次アップしていきます.